2020/11/14

結局、ミラノは逃げきれず(11月9日)

ロックダウン、シーズン2

10月の上旬はミラノの感染状況が非常に良い方向に向かっていたのですが、ここ1ヵ月の間に180度方向性が変わってきました。

感染の拡大状況を知る実効再生産数は2.01まで上昇し、ロンバルディア州では1人の人間が2人感染させる状況が続いております。

10月26日には、新型コロナウイルス対策の新たな規制に反発した人々による暴力的な抗議行動が各地で発生しました。政府が感染流行を抑えるため飲食店などの夜間営業を禁じたのが原因であります。よそ様のことはニュースを通じてでしか分かりませんが、警察当局との衝突はイタリアの主要都市で報告されています。

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ロンバルディア州は、新型ウイルスの影響が特に大きく、ミラノ中心部では「自由!自由!自由!」と唱える群衆と警官隊が衝突していました。そして抗議行動者を追い払うため催涙ガスを使用するという、世紀末のような状態でしたが、ロックダウンが始まった現在はそのような抗議活動は特になく、ミラノ人は大変お行儀がよろしい。というか、正当な理由なく外出した場合に課せられる罰金の方を恐れているのかも知れません。彼らにとって怖いのはコロナでも催涙ガスでもなく「罰金」なのである。

コンテ首相は11月4日、新型コロナウイルスの感染急増を受け、ミラノを含む北部ロンバルディア州など6日からロックダウンを行うと表明しました。政府はコロナ感染の度合いに応じて全国を「赤」「オレンジ」「黄」の3つの区分に分け対応しています。

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最も制限が厳しいロンバルディアなどの「赤」の地域では、通勤や緊急・健康目的以外の外出が禁止。バール・飲食店や大半の店舗が閉鎖され、高校などの授業はオンラインに切り替わりました。春の都市封鎖とは多少異なり、工場は操業は認められております。

ロンバルディア州はイタリアの人口の約6分の1、国内総生産の5分の1以上を占めているので、経済との兼ね合いが特に難しいとされています。

春の都市封鎖の時に起こった「買い占めパニック」などは一切起こらず、スーパーの入り口で長蛇の列を作ることは稀です。

ちなみに「赤」が認定されてしまったのは北イタリアではロンバルディア州、トリノを中心としたピエモンテ州。これは仕方がないんです。寒い地域では気温が下がったことにより、窓を開けることなく換気が不十分だったのが原因ともされています。日本では北海道などが感染拡大してしまうのと同じ状況です。

しかしながら長靴形をしたイタリア半島のつま先の部分であるカラブリア州が「赤」認定されているのが意味不明。室内の換気云々の問題ではなく、カラブリア人はでかい声で喋るのが原因なのか?…まあ、よそ様の事は分かりませんが。

ちなみに「オレンジ」の地域は、プーリア州とシチリア州。それ以外は全て「黄色」です。いずれにしても行動には多少の制限がかけられています。

4日の記者会見でコンテ首相は「私はクリスマスと新年に抱き合って祝えると思っていない。我々は規則を守るしかない」と訴えておりました。

新しい首相令の第3条「最大限の深刻性を伴うシナリオと高リスク水準によって特徴付けられる国土の一部に関する更なる感染予防措置」に関してですが、第3項に「リスク水準またはシナリオにつき、制限措置が決定された時点でのレベルより低い感染状況が14日間続けば、新たな分類がなされる。前述の保健省命令は最低でも15日間、本首相令の有効期限を越えない範囲で有効である。」と記載されています。つまりこの15日間が勝負で、改善が認められれば制限が多少緩くなるかも知れません。

1度目と2度目の違いとは?

では、先述にも書いたスーパーにおける「買い占めパニック」が起こらない、または抗議行動が起こる、これは春のロックダウンの時にはなかった現象です。

春の感染拡大時期には一日における新規感染者数が最大6000人でしたが、今は1日に3万人以上が新規感染者となっています。当然パニックが起きて然りのはずが、そうではない。

これは数値から読み解くことができます。

https://lab.gedidigital.it/gedi-visual/2020/cronavirus-in-italia/

現在イタリア国内において感染者が一番多い年齢層は男女ともに50代、次いで40代。50代と40代を足しておよそ全体の3割になります。30代以下の感染者の割合は合計で全体の3割。それに対して60代以上の感染者は全体の4割になります。しかしながら死亡者の人数を見ると、ほとんどが60代以上となっております。

https://lab.gedidigital.it/gedi-visual/2020/cronavirus-in-italia/

今までのデータでは3月26日が過去最大の新規感染者数6000人となっており、一日におけるイタリア国内死亡者数は900人ぐらいでした。その時期は町中が恐怖におののいており「感染」してしまったが最後、死への直行便のようになっていました。しかし現在では3月の5倍である一日3万人以上の新規感染者数を叩き出しておりながら、死者の数はほとんど横ばい。むしろ3月の半分程度です。新規感染者の数が増えるのは同時に検査数も増加しているのが要因でもあり、現在、一日20万人以上が検査を受けております。ちなみに日本国内の一日の検査数は2万人程度です。

https://lab.gedidigital.it/gedi-visual/2020/cronavirus-in-italia/

キーワードは「アシントマーティコ」

無症状という意味です。

先日、ミラノ大聖堂の大司教であるマリオ・デルピーニも69歳でコロナ陽性者となり、まさかの無症状。様々な分野の著名人も少しずつ陽性者となってきましたが、ほとんどのケースが軽症、または無症状です。

11月8日のロンバルディア州のデータでは州全体の新規感染者は6318人(ミラノ市内の新規感染者は1204人)、集中治療室へ行った人は40人、入院は412人です。

https://www.lombardianotizie.online/coronavirus-casi-lombardia/

つまり、感染をしてもほとんど軽症で済むと言う点で春のような悲壮感はなく、落ち着いていられるのでしょう。また逆に軽傷で済むのであるなら、都市封鎖などせず仕事を継続させろ!というのがの抗議行動者の本音ではないでしょうか。

非常に残念なのは、12月7日のスカラ座初日のオペラが中止になったと言うことです。予定ではドニゼッティの「ランメルモールのルチア」でオペラシーズンを開幕する筈でした。これは前代未聞で、過去にオペラシーズンが開幕できなかったのは1945年、第二次世界大戦終戦の年でした。これ以降、毎年続けていたオペラシーズン開幕さえも今年は諦めるしかないようです。
(ミラノ/川倉靖史)