2020/07/09

7月1日 バスク便り

徐々に普段の生活へ

フランスは早くもバカンスモード。6月15日ヨーロッパ内の移動が可能になった頃から、皆いそいそとバカンスの計画を立て始めました。この夏はフランス国内旅行をする人が多いようです。学校は7月1週目で終わり2か月の夏休み突入。やっぱりバカンス大国です。

さらに、ヨーロッパ連合は7月1日以降日本を含む13か国からの渡航制限解除を発表しました。日本からの入国も可能になりました。

ボルドー、バスクを含む南西部ヌーベルアキテーヌ地方も、引き続き順調に普段の生活が戻りつつあります。

ソーシャルディスタンスは必要なものの、何より外食ができるようになったのは嬉しいですね。夏の陽気も手伝って、カフェのテラス席はやはり人気。店内も間隔を広げたテーブル配置で食事が可能になっています。メニューの手渡しを避けるよう、黒板に書いたメニューを見せてくれるスタイルが増えています。
そしてシネマ好きのフランス人は嬉しいニュース、映画館も6月22日から再開しました。
以前はバゲットを手づかみで渡してくれていたパン屋さんも、新たな衛生指導のおかげで手袋使用となり、日本人としては嬉しい点もあります。固いおひげの男性と、頬どうしをくっつける挨拶「ビズ」をしなくてよくなったのも?!男性同士は握手の替わりに肘どうしをつける新しい挨拶も見られます。

バスク地方の現在

今日はフレンチバスク地方バイヨンヌとビアリッツ、そしてスペインのサンセバスチャンの様子をお伝えします。ボルドーからスペイン方面へ約200km南下、フランスとスペインにまたがるバスク地方の魅力は数え切れません。赤と緑と白で統一された街並み、生ハムにチーズ・唐辛子・魚介など豊かな食材、ピレネー山脈の景色・・ いちばんの魅力は、自らの文化を愛するバスクの人たちの郷土愛かもしれません。今年は残念ながら行われませんが、毎年7月末にあるお祭りフェット・ド・バイヨンヌの時は、白い洋服に赤いスカーフをつけた人たちで街は溢れかえります。
「X」や「K」といったフランス語ではあまり使われない文字が多く出てくるのもバスクの言葉です。

甘いもの好きには、メゾン・アダムのマカロン、カズナ―ヴのホットチョコレート、アーモンドの香りパリエスのムシュー・・・お勧めのお菓子屋さんリストは長いですが、是非召し上がっていただきたいのはやはりガトーバスク。中は黒さくらんぼのジャムとクリームの二種類があります。しっかり甘くて腹持ちもいいので、食後のデザートよりは街歩きに疲れたときのおやつにちょうどいいです。
羊のチーズも、山間小さな村の産地イチャツの黒さくらんぼジャムと相性抜群です。

日本のお客様にも人気の布製品バスクリネン。ジャン・ヴィエのウィンドーをのぞいて見ると、すっかり夏のビーチ仕様になっていました。伝統的な7本線入りのバスク柄もいいですが、最近はカラフルなこんなおしゃれ縞模様もよく見られます。厚手のしっかりした布はテーブルクロスやクッションに愛用されています。ちなみにバイヨンヌの市バスもカラフルなバスクの縞模様。去年から走り始めた100%電動のトラムバスは、黒でスマートなかっこいいデザインです。

ビアリッツは、カジノや豪華なホテル、ビーチが人気の海際リゾート地。少し雲行きがあやしくなってきた日曜のお昼時でしたが、地元サーファーたちが集まっていました。ビーチは衛生規定ソーシャルディスタンスを守りながらのアクセスは自由になっていて、夏休みの間は日中監視も行われ、海水浴も楽しめそうです。聖母マリア像の岩に繋がる岬にはビアリッツの水族館があり、ここも6月初めから開業しています。
遠景を眺めるだけでも優雅な気分になるビアリッツの高級ホテル、オテルドパレは、再開業2021年春とのことで今は工事中です。来年さらに美しくなって世界中からお客様が訪れますように!もとはナポレオン三世がユージェニ妃のために建てた別荘です。

サンセバスチャンのバルの様子は?

そしてビアリッツから車で1時間弱、スペインのサンセバスチャンへ。国境を超えるととたんに生活時間(腹時計?)のずれを感じます。午前中は静かで午後2時近くになるとやっと人が増え始め・・・旧市街のバルを巡って食べ歩きがやっぱり魅力ですね。今はどこも衛生対策がしっかり。入り口にはポンプ式の消毒ジェルが設置され、ピンチョスが並ぶカウンターは透明の仕切りが取り付けられています。

まず一軒目はキノコと生ハム、ウニクリームから。飲み物はもちろんチャコリ。高いところからグラスめがけてついでくれる酸味さわやかな微発泡の白ワインです。
日本語メニューのある人気店Bar Sport、牛の頬肉など温かいタパスがおいしいBorda Berri、店内の画面に日本語メニューを出してくれるGoiz Argiに寄ってみました。近年日本に限らず海外からのお客様が増えていたサンセバスチャンですが、バルの人たちによると今のところ地元の人がほとんどのようです。フランス語はちらほら聞こえました。
そして忘れてはならないのが日本でも人気のチーズケーキ!ラ・ヴィーニャでいただきました。しっとりなめらかな食感が最高です。ソースもクリーミーで濃厚でした。お店の奥にはホールでいくつも並べられていて、テイクアウトを頼む人もいます。

お昼は観光の合間にバルで簡単に。夜はゆっくりレストランでワインと共にお夕食、というのも美食の街サンセバスチャンではいいかもしれません。ワインは是非RIOJAリオハを。大地が生み出した豊かな香りが、ゆったりとしたお食事の間にも変わっていきます。
最後にサンセバスチャンで最も古いサンヴィセンテ教会へ。お客様を再びこの地にお迎えする日が近いことをお祈りし、フランスへ戻りました。バスクが皆さまのお越しをお待ちしています。

(塩津理代/ボルドー)