2020/05/22

初夏のボルドー街歩き

ロックダウン後のボルドー

祭日のキリスト昇天祭が今年は5月21日木曜日。週末に「pontポン=橋」をかけて連休にするのが得意なフランス人。ボルドーでは土曜を除いて快晴の4連休となりました。
5月11日に外出禁止が解除され、食品以外のお店も営業を再開し始めました。レジや店内では他の人と1mの距離をおく、消毒ジェルを設置、入り口と出口を分けるなど、どのお店も衛生対策をしています。以前はフランス人に馴染みのなかったマスクも今ではしっかり定着し、思わず微笑んでしまうようなデザインや、お洒落な色柄のマスクも見かけます。これもフランス人のセンスでしょうか。
サン・スラン教会前の公園スペースでは、犬を散歩させるマダム、ベンチで新聞を読むムッシュ―、芝生に座っておしゃべりに夢中のマドモワゼルたち。いつもの初夏の風景が戻りました。 カンコンス広場からボルドーのオペラ座大劇場前へ向かう途中、老舗のカヌレ屋さんバヤルドランへ。ワイン造りの過程で卵白のみを使うため余った卵黄と、砂糖小麦粉ラム酒を混ぜて銅の型で焼いたのが始まりのボルドー名物。外側はしっかり焦げてパリパリ、中はもっちり、ふんわり感じるバニラの香り。4種類サイズがありましたが、今日はいちばん大きいサイズを買いました。カヌレ専門店ですが、マカロンやコーヒーをいただけるカフェスペースもあります。 お隣のワインショップもちょっと覗いたところ、顔見知りの店員さんが立っていました。昨日から暑くなりロゼ買いに来る人が多いとのこと。久しぶりに友達や親せきと会えるようになり、食事を楽しむ人が多いのでしょう。
五つ星のインターコンチネンタル・グランドホテルと大劇場が向かい合うコメディ広場はトラムも通過。そこからさらに南へ進むとショッピング街、サント・カトリーヌ通りに入ります。「ヨーロッパで一番長い商店街」であるのがボルドー人の自慢。 何となく日陰を求めてサン・タンドレ教会方面へ。12世紀からここに建ち、人間の長い歴史を黙って見ているであろう石造りの重みを感じます。教会とは少し離れて立っている鐘楼ペイベルラン塔をがんばって登ると、ボルドーの街が一望できます。かなり急な螺旋階段なので、目が回らないようゆっくり(そして体力のあるうちに!)登って下さい。 教会のお隣りはロアン宮殿、現在ボルドー市役所です。かつて大司教座として造られた宮殿を右に、サン・タンドレ教会を正面に見ながら、カフェのテラス席で休憩するのもおススメ。6月2日以降の飲食店再営業が待たれます。(フランス全土をコロナの状況により赤ゾーンと緑ゾーンに分けた地図を政府が発表。それによるとボルドーを含むヌーヴェル・アキテーヌ地方は緑ゾーンです。)この周辺は車の進入が限られているので歩行者には歩きやすく、疲れたらトラムA線B線両方に乗ることもできて便利です。
その後スーパーでお買い物。中心地で便利なグラン・ゾームMarche aux Grands hommesの地下にはスーパー、カルフールマーケットがあります。郊外には巨大なカルフールがありますが、街中では小規模のマーケットが便利。ここは中心地のホテルからも徒歩圏内で、観光後お水や食品などの調達に好都合です。

 ガロンヌ川沿いには、ボルドーが最も栄えた18世紀に建てられた白い石灰岩の建物が立ち並んでいますが、写真スポットはやはり水鏡。対岸に見せるように半円の弧を描くブルス広場の建物が、浅く張った水に映る様子はその名の通り「Miroir d’eau」です。今年は7月11日まで川沿いの通行がジョギングとサイクリングに限られるので、ここでのピクニックはもう少しの辛抱。ロックダウン後、スポーツ人口が増えているのは気のせいでしょうか。お夕食帰りなら、是非ともライトアップされた夜景をご覧いただきたいスポットです。

 

ボルドーワインが味わえるおすすめのワインバー

ワインなしにボルドーの話は終わることができませんね。サンテミリオンやメドックについては次回ご紹介しますが、ボルドー市内川沿いにある「シテ・デュ・ヴァン」ワイン博物館では、ボルドーに限らず世界のワインについての展示を様々な角度から五感で体験することができます。見晴らしのいい最上階で試飲も可能。再開館は6月中旬予定とのことです。
また素敵なワインバーやレストラン、カーヴはたくさんありますが、観光局向かいのBar a vinもそのひとつ。赤、白、ロゼ、クレーレ、クレマン・・・ボルドーの各地域のワイン、また格付けシャトーのワインもグラスで、チーズやハムなどのおつまみと共に楽しめます。テラス席もよし、中の明るい雰囲気も落ち着きます。18世紀の元邸宅だった建物は先がとがった船の舳先の形。ボルドーワイン委員会C.I.V.Bが運営していて、同じ建物のメゾン・デュ・ヴァンではワイン講座も行われています。
今日のように暑い日はクレーレに、シンプルな肉料理やサラダがいいかもしれません。ロゼよりも赤い、透明なルビー色に近い色をしたこの土地ならではのクレーレ (Clairet)。ボルドーの高級赤ワインが世界中に有名で、多くの人を魅了しているのは言うまでもありませんが、クレーレは地元ボルドー人にとって小さな幸せの一杯。この土地で味わっていただきたいワインのひとつです。